基礎知識
電熱ヒータ
電熱ヒータとは
電熱ヒータには抵抗加熱、誘導加熱、アーク加熱等があります。加熱の目的に応じて特長を生かした加熱方法を用いることにより、全体加熱、表面加熱、部分加熱等を正確な温度と所要の時間で効率的に加熱することが可能です。高温度に耐える抵抗導体(発熱体)に電流を通じ発熱する熱を放射、対流、伝導により被加熱対象物を加熱するものを抵抗加熱ヒータといいます。
ここで紹介する電熱ヒータとは金属抵抗線を絶縁材で覆い、さらに金属管または金属板で被覆保護された抵抗加熱ヒータをいいます。
電熱ヒータの特長
産業用に利用される電熱ヒータには次のような特長があります。
- 燃焼方式に比べて熱効率が大きい。
- 有害な副産物・廃棄物を発生させない。
- 均一な加熱が行いやすい。
- 取り扱い・操作が容易。
- 高温・真空中での加熱が可能。
- 温度の制御が容易。
- 自動制御・遠隔制御が容易。
発熱線の成分
JIS C 2520より
種 類 記 号 |
化学成分(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ni(*1) | Cr | Al | C | Si | Mn | Fe(*2) | |
電熱用ニッケルクロム線第1種 NCHW1 |
77以上 | 19 ~ 21 | – | 0.15以下 | 0.75 ~ 1.6 | 2.5以下 | 1.0以下 |
電熱用ニッケルクロム線第2種 NCHW2 |
57以上 | 15 ~ 18 | – | 0.15以下 | 0.75 ~ 1.6 | 1.5以下 | 残部 |
電熱用ニッケルクロム線第3種 NCHW3 |
34 ~ 37 | 18 ~ 21 | – | 0.15以下 | 1.0 ~ 3.0 | 1.0以下 | 残部 |
電熱用鉄クロム線第1種 FCHW1 |
– | 23 ~ 26 | 4 ~ 6 | 0.10以下 | 1.5以下 | 1.0以下 | 残部 |
電熱用鉄クロム線第2種 FCHW2 |
– | 17 ~ 21 | 2 ~ 4 | 0.10以下 | 1.5以下 | 1.0以下 | 残部 |
(*1) ニッケルには少量のコバルトを含んでもよい。
(*2) その他の元素を含んでもよい。
発熱線の最高使用温度及び体積抵抗率
JIS C 2520より
種 類 | 発熱体表面 最高使用温度(℃) |
体積抵抗率(at23℃:μΩm) | |
---|---|---|---|
基準値 | 許容差 | ||
電熱用ニッケルクロム線第1種 | 約1100 | 1.08 | ±0.05 |
電熱用ニッケルクロム線第2種 | 約1000 | 1.12 | ±0.05 |
電熱用ニッケルクロム線第3種 | 約800 | 1.01 | ±0.05 |
電熱用鉄クロム線第1種 | 約1250 | 1.42 | ±0.06 |
電熱用鉄クロム線第2種 | 約1100 | 1.23 | ±0.06 |
発熱線の最高使用温度は発熱線の直径に関係します。直径が細くなると、最高使用温度は低下いたします。上表の最高使用温度は参考値で寿命を保証するものではありません。