温度を伝える

高温の計測

高温の対象物を計測する方法としては、接触式、及び非接触式による計測方法があります。
接触式による高温対象物の測定時は、熱流による測定誤差や熱電対の使用履歴等に注意し、測定する必要があります。
非接触式による測定には放射温度計が使用され、対象物の熱放射量を把握した上で、離れた場所からでも測定することが可能です。
測定対象物の温度域や状態により、適切な温度計を選定し測定することにより、高精度な測定が可能となります。

高温測定で注意すべきこと

接触式による高温測定には、主に熱電対が使用されます。
熱電対を使用した計測には、計器と熱電対との接続に補償導線を使用しますが、この補償導線に熱勾配がかかると測定誤差の要因となります。熱電対は測定対象物に十分に温度をなじませ、測定温度と室温間の熱勾配を熱電対自体に発生させて測定することにより、正しい測定ができます。しかしながら、特に卑金属熱電対はその使用熱履歴が測定値に影響を与えるため、定期的な交換が必要となります。また、貴金属熱電対に関しては、熱電対素線が汚染されてしまうと測定値に影響を及ぼします。
また、炉等への温度計の挿入時は、熱流による測定誤差を避けるため、温度計の外径を考慮する必要があります。外径の大きい温度計を炉等へ挿入する場合、測定対象物の熱が温度計を伝って逃げる量が多くなるため、十分な長さを挿入するなどの処置や注意が必要となります。
温度計の測定対象物への設置においては、接触をよくすることで測定精度が高まります。温度校正におきましても、校正時の炉内における温度分布や温度安定性を改善することにより、測定のばらつきを小さくすることができます。

非接触式による高温測定には、放射温度計を使用します。
放射温度計による計測においては、測定対象物の材質の放射率を把握し、適切な測定方法を選定することが重要となります。計測時は、放射温度計の標的部が測定対象物内に全て収まるようにする必要があります。標的部が測定対象物内に全て収まらない視野欠けがあると測定誤差の要因となります。